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誰が癒すイエスの孤独

作成者 admin最終変更日時 2006年03月29日 11時50分

今週の聖書

マルコによる福音マルコ10,46-52

イエスが弟子たちや大勢の群衆と一緒に、エリコを出て行こうとされたとき、ティマイの子で、バルティマイとい盲人の物乞いが道端に座っていた。ナザレのイエスだと聞くと、叫んで、「ダビデの子イエスよ、私を哀れんでください」と言い始めた。多くの人々が叱り付けて黙らせようとしたが、彼は益々、「ダビデの子よ、私を哀れんでください」と叫びつづけた。イエスは立ち止まって、「あの男を呼んできなさい」と言われた。人々は盲人を呼んで言った。「安心しなさい。立ちなさい。お呼びだ。」盲人は上着を脱ぎ捨て、踊りあがってイエスのところに来た。イエスは、「何をして欲しいのか」と言われた。盲人は、「先生、目が見えるようになりたいのです」と言った。そこで、イエスは言われた。「行きなさい。あなたの信仰があなたを救った。」盲人は、すぐ見えるようになり、なお道を進まれるイエスに従った。

今週のポイントザアカイと出会った思い出深いエリコ。ザアカイが上っていたイチジク桑の木も相変わらずたおやかに枝を伸ばして涼しい木陰を作っている。思わず足を止めて汗をぬぐった。引き返すことのない最後のエルサレム詣で。次第に高まる死への恐怖。そして、言い知れぬ孤独感。イエスの口から思わず大きなため息が漏れた。

「ダビデの子よ、私を哀れんでください!」

思わず声のほうに目をやると物乞いの盲人が狂ったように叫んでいる。それを制止する弟子たちや群衆。イエスは声を荒げた。「何をするんだ。来させないか!」

「何をして欲しいのか。」
「目が見えるようになりたいのです!」両手を地面につき顔をキッとイエスに向けて叫んだ。

イエスは、大きくうなづくと、弟子たちと群衆を見回した。「君たちには、光を見たい!と叫ぶこの人の切なる思いが分からないのか!」そう叫んでいるかのようだった。やがて、身をかがめると盲人の両肩に手を置き、慈しんで言われたのだった。

それにしても、見えるようになったバルテマイが最初に見た人がイエスだったとは!なんと幸いなことか!イヤ、マルコはそんなことを問題にしているのではない。孤独な盲人バルテマイを丸ごと受け取ったのはイエス一人だったということが問題なのだ。イエスならそうするのは当然と思っては身もふたもないが…。思えば、「殺されることになっている」という心を黒く覆いつづけている不安。弟子たちに三度もぶっつけてみたが、受け留めてはもらえなかった。イエスの孤独の深さの理由はここにあった。「自分の側に置くため…」(マルコ3,14)に呼び集められ、三年近くも寝食を共にしたというのにこのありさまだ。

「目が見えるようになりたい!」誰からも相手にされないままバルテマイは何十年叫びつづけたことか。だから、イエスには、瞬時にしてバルテマイの孤独が分かった。そして、見えるようになった。だが、マルコは盲人が癒された話をしたいのでもない。驚くべきことは、バルテマイが、「イエスに従った」ことなのだ。イエスの孤独に同行するバルテマイ。イエスの心が少し軽くなった。

それにしても…とマルコは言いたい。あのガリラヤ湖畔で、身一つでイエスについていった弟子たちはどこに行ったのか。まるで、そのときの弟子たちを思わせるようなバルテマイ。行きずりの物乞いがイエスの孤独を癒した。それに比べて、あのときの純な気持ちを忘れ、いっぱしの野心家気取りで「見えなくなっている」弟子たち。マルコは、あくまで「無理解な弟子たち」を問題にしている。そして、問題を投げかけている。

イエスの孤独は今も深い。教会内ではもっと深い。バルテマイはどこにいるか。2000年の時を超えてマルコが呼ばわる。

*マルコは、他の福音記者にくらべて、弟子たちとイエスの落差をはるかに問題にしている。例えば、「ファリサイ派とサドカイ派の人々のパン種」マタイ16,9「まだ分からないのか。覚えていないのか。」マルコ8,17-18「まだ分からないのか。悟らないのか。心がかたくなになっているのか。目があっても見えないのか。耳があっても聞こえないのか。覚えていないのか。」違いは一目瞭然。
他にも沢山ある。マルコ4,13、40:5,31:6,37,52:7,18:8,4:9,10:10,32以上はマルコだけにあるかあるいは強調。


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