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真の敵は十字架のイエス

作成者 admin最終変更日時 2006年03月29日 13時40分

今週の聖書

ルカによる福音6.27-38

私の言葉を聞いているあなたがたに言っておく。敵を愛し、あなた方を憎むものに親切にしなさい。悪口を言うものに祝福を祈り、あなたがたを侮辱するもののために祈りなさい。あなたの頬を打つ者には、もう一方の頬をも向けなさい。上着を奪い取るものには、下着をも拒んではならない。求める者には誰にでも与えなさい。あなたの持ち物を奪うものから取り返そうとしてはならない。人にしてもらいたいと思うことを人にもしなさい。
自分を愛してくれる人を愛したところで、あなたがにどんな恵みがあろうか。罪人でも愛してくれる人を愛している。また自分に良くしてくれる人に良いことをしたところでどんな恵があろうか。罪人でも同じことをしている。返してもらうことを当てにして貸したところで、どんな恵があろうか。罪人さえ、同じものを返してもらおうとして、罪人に貸すのである。しかし、あなた方は敵を愛しなさい。人に良いことをし、何も当てにしないで貸しなさい。そうすれば沢山の報いがあり、いと高き方の子となる。いと高き方は、恩を知らないものにも、悪人にも、情け深いからである。あなた方の父が哀れみ深いように、あなた方も哀れみ深いものとなりなさい。
人を裁くな。そうすれば、あなた方も裁かれることがない。人を罪人だと決めるな。そうすれば、あなた方も、罪人だと決められることがない。許しなさい。そうすれば、あなた方も許される。(略)

今週のポイント中学生の時あらゆる体罰をマスターした。今でもその痛さが蘇るのは、金槌の堅い柄で頭のテッペンをたたかれた時の痛さ。その瞬間目を閉じたので目から火が出ることはなかったが、頭には大きな穴があいたと実感して、思わず手で確かめたほどだった。なんでもなかったので、頭って随分丈夫なもんだと感心した。そんな先生たちを生徒たちは敵だとは思わなかった。敵とは、まっすぐ向かう相手という意味だそうだが…。

イエスが言われる敵は少し違う。同族以外は皆敵。砂漠の民にとって身を守るのは同族のみ。だから、愛し合うのは同族間のみ。そんな流れを汲むイエスの同胞たち。また、罪人というのも少し違う。重い皮膚病を病む人、徴税人などは神の恵みの対象外、罪人だった。

そんなユダヤ教の線引きを継承している社会に「ノー!」と言う新しい社会。神の国の価値観を強調しているイエス。「見張りをしていた者たちは、イエスを侮辱したり、殴ったりした」(ルカ22,63)が、イエスは「もう一方の頬をも向け」たとは記されていない。しかし、「父よ、彼らをお許しください。自分が何をしているか知らないからです」(ルカ23,34)と「敵」のため祈って許しを願った。

で、今日の話は、「もう一方の頬を向け」るほどの英雄的愛を持っているかどうかを問題にしているのではない。世の中には、この点だけを安易に引用して事を荒立てようとする人がいたりするが、イエスの真意はそこにはない!そのことで、真のキリスト者かどうかが計られるのでもない。また、「取り返すな」、「何も当てにしないで貸せ」、「裁くな」の場合も同じ。

答えは、先ほど引用した十字架のイエスの祈り。赦し。それこそ、父の愛、哀れみを具体的に表すことだからだ。で、イエスの細かな命令は忘れよう。イエスの真意は、「赦しあうこと」。何かをするかしないかは、心が整えられた結果に過ぎない。それがなされないまま、一方の頬を向けただけでは「痛さと屈辱が残る」だけだ。

では、どうしたら、赦すほどに心が整えられるか。不条理の象徴とも言える十字架にまっすぐに立ち向かうこと以外にない。つまり、十字架こそあなたが「まっすぐに立ち向かう」べき真の敵なのだ。理屈を通したくなる時、人権を叫び、正義にはやる時、もしあの方の祈りを聞かなかったら、あなたの信仰は空を打つかもしれない。

あなたがカトリック信者なら、聖体拝領の時の「アーメン」が、イエスの祈りへの同意となる事を忘れないようにしよう。いや、ご聖体が旅路の糧としてあなたを養い、あなたの心を整えてくれることも付け加えなければならない。それでも、ウラミツラミに生きているなら、もはや信者とは言えないことも。


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