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パウロの信者像に迫る

作成者 admin最終変更日時 2006年03月31日 10時44分

年間第18主日のミサ説教音声(2005.7.31)

音声を聞くためにはReal Playerが必要です。無料でダウンロードして使うことが出来ます。 

今週の聖書

ロマ8:35・37-39

 だれが、キリストの愛からわたしたちを引き離すことができましょう。艱難か。苦しみか。迫害か。飢えか。裸か。危険か。剣か。
 しかし、これらすべてのことにおいて、わたしたちは、わたしたちを愛してくださる方によって輝かしい勝利を収めています。わたしは確信しています。死も、命も、天使も、支配するものも、現在のものも、未来のものも、力あるものも、高い所にいるものも、低い所にいるものも、他のどんな被造物も、わたしたちの主キリスト・イエスによって示された神の愛から、わたしたちを引き離すことはできないのです。

(日本聖書協会『聖書 新共同訳』 より)

今週のポイントコリントの人々のパウロ評は「手紙は重々しく力強いが、実際に会ってみると弱々しい」だったという。そのパウロがローマ人に向かって信者はいかにあるべきかを説いた8章。その結びが、今日の本文。まさに重々しく力強い!そしてりりしい!イヨーッ世界一!思わず声を上げたくなった。信者の心意気ここにあり、だ。

 勇ましい言葉に鼓舞されることはある。「元気をもらいました!」といって別れることもる。そのことが人生の転機になったということもあるかもしれない。

 しかし、思わず歓声を上げたくなったとはいえ、今日のパウロの畳み掛けるような問いかけには、正直言って、思わずひるんでしまう。
 艱難か!いやだ。苦しみか!とんでもない。迫害か!冗談じゃない。飢えか!やめてくれ。裸か!危険か、剣か!全部全部イヤだ!イヤだ!!イヤだーーっ!!!まるで、悪夢にうなされているみたいではないか。

 しかし、そんな逃げ腰モードを一瞬のうちに静止モードに変えてしまったのが「・・・神の愛から私たちを引き離すことは出来ないのです」という結びの言葉だ。気になってつい立ち止まってしまう。まるで、イヤダイヤダとだだをこねていた子供が、他のことに気をとられて一瞬泣きやんだときのようだ。
 それはともかく、信徒であり続けている現実。司祭であり続けている現実。それこそが、神の愛から引き離されることなく神の愛に踏みとどまっている証拠ではないか。しかも、様々な艱難や苦しみにもめげずに、周りの無理解という迫害?にもひるむことなく、文字通り裸一貫、ゼロからのやり直しがあったり、目の前に剣を突きつけられているようなせっぱ詰まった状況に直面しながらも、とにもかくにも信者であり続けている現実は尊い。

 だが、パウロはそんな甘い自己評価に反論するかのように言葉を続ける。「ワシが言いたいのは、『・・・他のどんな被造物も私達を・・・神の愛から引き離すことは出来ない』ということであって、ただ単に、信者であることを辞めなければいいと言っているのではない。」そんな風に聞こえる。
 
 この世にも神様にもいい顔をするふた心の信仰ではダメと言うことですか?聞き返したくなる。この世と妥協しながらの信仰で何が悪い!第一、私ら俗人は霞を食って生きるわけにはいきませんから。皮肉屋の彼の顔が浮かんだりもする。

 しかし、待て待て、いるぞいるぞ。熱心だが、どこか冷めていて、批評が好きな信者。ほめるよりもけちをつけたがる信者。悪くないとは思うがみんなを仕切っている信者。存在感がありすぎて周りが気を遣う信者。心配性の信者。これも悪くないとは思うが、司祭も信者の決定に従うべきだと主張する民主主義信者。信者批判になりそうなのでここらで止めよう。

 要するに、パウロが説く信者像の決定版?は、「私のこれらの言動は、神の愛に添うものかどうか」もっとやさしい言い方をすれば、「私のこれらの言動を神様も喜んでくれるだろうか」と素朴に自問自答出来る信者のこと。つまり、自分を客観的に眺めることの出来る安定感のある信者。そうなると、神様との愛の関わりも深みを増し、その実りとして、相互の違いを認め合う落ち着いた雰囲気の信者共同体が出来上がるに違いない。
 
 司祭も信者の一人として、暑さにめげず、目指せ、信者の決定版。


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