信仰の遺伝子はいつもオン
年間第27主日のミサ説教音声(2005.10.2)
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フィリ4:6-9
どんなことでも、思い煩うのはやめなさい。何事につけ、感謝を込めて祈りと願いをささげ、求めているものを神に打ち明けなさい。7そうすれば、あらゆる人知を超える神の平和が、あなたがたの心と考えとをキリスト・イエスによって守るでしょう。8終わりに、兄弟たち、すべて真実なこと、すべて気高いこと、すべて正しいこと、すべて清いこと、すべて愛すべきこと、すべて名誉なことを、また、徳や称賛に値することがあれば、それを心に留めなさい。9わたしから学んだこと、受けたこと、わたしについて聞いたこと、見たことを実行しなさい。そうすれば、平和の神はあなたがたと共におられます。
(日本聖書協会『聖書 新共同訳』 より)
御利益信仰を侮ってはいけない。むしろ、信仰はあなたを健康にする!今日は、耳寄りな話しをお届けしたい。
今日の本文を読んで思い起こしたことがある。遺伝子をオンにするという村上国雄という先生の本の一節。遺伝なんだと諦める必要はない。いいように働く遺伝子があるので、それを眠っている状態から目覚めた状態にしてあげればいいという意味のことが興味を引いた。どうしたら目覚めた状態に出来るかということでいくつかの提案がされていたが、なかでも、目を引いたのは、どんな逆境下にあっても、気持ちを切り替えて、それを機会に発憤するとか、たえず前向き思考をすればいいというもの。お祈りや感謝するということも有益だとの指摘もあって嬉しかった。
気持ちの切り替えは性格によっても違うとは思うが、十字架と復活。この大逆転のドラマを熟知?している信者は何と有利な立場にあることか。死と復活のドラマが健康にも利するとあれば、性格などにこだわっている暇はない。人は一日23回の逆境に遭うという話しをしたことがあるが、そのタンビに、ニッコリ笑って「復活!」と口にするだけで、遺伝子がスイッチ・オンになって逆境に打ち勝つことができる。もしそうなら、つまり、逆境と感じるたびに、遺伝子のスイッチをオンに出来ると思えば、びくびくすることはなくなって、気持ちの切り替えの達人になれそうな感じがするから楽しい。
ところで、今日の本文で気がつくことは、パウロの言葉がどれも前向きなことだ。キリスト教徒の迫害者パウロがどうしてこんなにも穏やかな言葉を語れるキリストの使徒に大変身できたのか。彼は、知ったのだった。神の憐れみを。どんな憐れみ?「以前、わたしは神を冒涜する者、迫害する者、暴力を振るう者でした。しかし、信じていないとき知らずに行ったことなので、憐れみを受けました。」(1テモテ1,13)
キリスト信者の共通の?負い目は、「自分は罪深い人間」ということではないか。それは、健全でいい。しかし、「だから、神様にはふさわしくない」と諦めている。もっといえば、ミサに行く資格はない。落ちこぼれ信者。などと自分で自分を慰めるような、いたぶるような言い方を多く耳にする。それは、村上先生流に言えば、「よい働きをする遺伝子をオフ」にしていることになるので、健康にとってもマイナスということになる。
要するに、自分がどんな状況にあろうと、名前ばかりの信者を自認しようと、一日も早く、気持ちを切り替える必要がある。どうしたら、そんな軽業みたいなことができるか?だから、パウロのように、自分が負い目と感じる過去の過ちや失敗や、諸々の負の遺産?は全て、「信じていないとき知らずに行ったことなので、憐れみを受け」ることができると自分に言えばいいのではないか。そんな気持ちをキープすることが大切。これは、前向きな気持ちなので、今すぐ、信者らしく?なれなくても、少なくとも、よい働きをする遺伝子は、スイッチ・オンの状態。スイッチ・オン状態がキープできれば、やがて、遺伝子の応援で、苦労することなく、信者に復帰できる。
そんな青写真への希望をもたらしてくれるのが、「どんなことでも、思い煩うのはやめなさい」で始まる今日のパウロの手紙だ。再度、読み返すなら、気持ちを目向きにして生きるようにと言う積極的な提言であることが分るはずだ。つまり、あなたの信仰の遺伝子をオンにしなさい。