日日是…
日日是好日は「ひびこれこうじつ」と読むものと思っていたら、「日日是日本語」というタイトルの本のフリガナが、”にちにちこれにほんご”になっていたので興味を感じた。内容よりも読み方にだが…。それでも、著者は日本語学者ということなので、購入することに。数か月前のことになる。なるほど、日本語をめぐる日記で、ほぼ毎日のように折々のことがつづられていて興味深いが、毎日のように届く新刊本をどう整理するのだろうとあらぬことに興味が移ったりする。久しぶりに手にして、著者には悪いが、「本当はどう読むんだろう」と手元のスマホでチェックした。禅の言葉で、日本では、やはり”にちにちこれこうにち”と読むとあり、日常的には、”ひびこれこうじつ”とも読むとあった。ひと安心したが、今日の話題の本命は別。
世界への入り口
著者は、子どものころから植物動物昆虫が好きだそうで、「花の名、昆虫の名、魚の名、鳥の名は、『世界への具体的な入り口』と言えるかもしれない」とあって、「まずはそうしたものの名前を知り、そこから人が世界に入っていく」とあって共感した。野鳥の写真を撮るようになってから、自然が織りなす季節の移ろいにも惹かれるが、それはどちらかと言えば静止画。しかし、いろいろの野鳥が飛び交う自然は動画。漠然とそんな風に感じていた。数年前のことになるが、ある時、かつて見たことのない色彩豊かな野鳥が目の前に飛んで来て、物置の屋根に止まったり植え込みの小枝に止まったりせわしなく飛び回る姿に興奮したことがある。渾身の一枚を親友に見せたらヤマガラだと分かった。きれいな野鳥が日本にもいたことに驚いたものだ。
原初の世界は今も
それは一瞬の出来事だったが、これまで地味な色合いの自然が一気に色彩豊かな生き生きとした動画に変わったのだった。唐突に聞こえるかもしれないが、「神は言われた。『生き物が水の中に群がれ。鳥は地の上、天の大空の面をを飛べ』」(創世記1・20)というあの原初の世界にボクをいざなったのだった。あれ以来、ヤマガラの美しい姿を見たことはないが、天空を行くトビにカラス、早朝から声を上げるヒヨドリにムクドリの一群、庭先にひょいとやってくるイソヒヨ、それに二反田川や御領ケ池のジュウニンたち、いずれも、ボクの中の静止画の自然をカラフルな動画に変え、原初の世界を再現してくれているオンジンたちだ。 だから、名前を知ることは、大事な「世界への具体的な入り口」なのだ。
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