マクロのミサを…
2004.4.25ミサ説教音声(mp3)
ヨハネの黙示5,11-14
私ヨハネは見た。
そして、玉座と生き物と長老たちとの周りに、多くの天使の声を聞いた。その数は万の数万倍、千の数千倍であった。天使たちは大声でこういった。「屠られた子羊は、力、富、知恵、威力、誉れ、栄光、そして賛美を受けるにふさわしい方です。」
また、私は、天と地と地の下と海にいる全ての被造物、そして、そこにいるあらゆるものがこう言うのを聞いた。「玉座に座っておられる方と子羊とに賛美、誉れ、栄光、そして権力が、代々限りなくありますように。」
四つの生き物は、「アーメン」と言い、長老たちはひれ伏して礼拝した。
パトモスでのヨハネの夢の続き。こんなにも大きなスケールの夢を見ることが出来たらどんなにか楽しいことだろうか。先ず、天使が多すぎる。現在の地球の人口よりも遙かに多い数の天使が上げた声とはどんな声だったのか。ま、夢だからいいとして、それに呼応する全被造物たち。そして、四つの生き物たちの「アーメン」に、観念したかのように「は、は、は…」とひれ伏す長老たち。
これって、水戸黄門の世界?軽薄な感想だが、実は、ヨハネの夢が描こうとしているのは、確かにドラマのよう。
一方の歌隊席から湧き上がる復活の主を称える大合唱。向かいの歌隊席からは御父と御子を称える大合唱がこれに呼応する。すかさず、聴衆から送られる「アーメン」のエール。伝統の中にあぐらをかき、冷ややかに眺めていた長老たちは、あまりのスペクタクルに言葉を失い、しかも、いつの間にか、海の被造物(神に敵対する邪悪の象徴?)までが加わっているので口アングリ。思わず、「恐れ入りました。」
こうして、復活の主の勝利を称える全宇宙を巻き込んだ大オペラの一幕が下りる。アンコールの拍手が鳴りやまない。
話しを現実に戻そう。あ、いや、このオペラが荒唐無稽な作り話だからというわけではない。実は、この季節、復活の主を称えるミサ、いや、この季節でなくとも、イエス様が残されたミサそのものは、全宇宙を捧げるイエスご自身の祈り。
しかし、次々とやってくる難問奇問?に翻弄され、外を見れば、分かりにくい年金問題に加えての未払い問題に腹を立て、更に目を転じると、飢えた国民に目もくれない将軍やわがまま勝手な理屈を通す大統領に「バカタレどもガ!」と吐き捨てる現実の中で捧げるミサは、ヨハネのオペラとは似ても似つかない「怒りのミサ」?
ともかく、ボクはミサを矮小化しているかも知れない。政治も世界の情勢さえも身のまりのことに過ぎない。宇宙の一大聖変化を先取りして祝うミサの壮大なマクロの世界へと誘ってくれたヨハネのオペラの余韻に浸っていたい今日の昼下がり。