ロケットの島の教会のチョットいい話

聖堂正面の聖母ジュンペイ君のyoucat、ultima schola(最後の授業)。Youcatと横文字が来たのでついラテン語になった。

かつての先生は聖書学の優しいカナダ人司祭。学期最後、先生が教壇に立つや、“Ultima schola non datur.”「最後の授業はありません」という意味だが、誰が教えたのか、神学生たちが優しさに付け込んで授業放棄を宣言するときのコロシ文句。すると、先生は抱えた聖書や参考文献をテーブルに置き、「エッへ、へ、へ」と独特の苦笑いでしばらく間を置き、やがて両手を広げて「しょうがない」といったようにして肩をすくめて腰を下ろす。我々神学生は一斉に拍手を送って授業放棄の成功を祝う。こうして気楽なトークで学期が締めくくられたものだ。オッと、又横道。

種子島教会唯一人の高校生ジュンペイ君のことは前に書いた。ふと教会に行ってみたいと思った本当の気持ちは聞かないまま。聞いたかも知れないが、概して多弁ではない高校生のことなので、ボソボソと心の内を語ったかも知れないが記憶にない。1年後の昨晩、父上の車で最後のクラスに。はなむけ種子島教会のマスコットキャラクターは永俊尼のクラスになれば、といくつかの留意点も伝授。

十字架があっても必ずしもカトリック教会とは限らない。マリア様のご像があるかどうかをシラベル。イエス様を口にしながら三位一体の信仰を持たないキリスト教もあるので要注意。特に、◯◯、△△、××などはダメ。

アメリカでは掲示板に「◯◯曜日午後◯◯時ビンゴ」とあればカトリック教会、ということになっている。「ビンゴって何ですか?」思わず、大人が顔を上げた。「お金を賭けること。」「エーッ!」全員が声を上げた。リアクションの大きさにチョッとあせった。「楽しみながら教会運営を支えてもらおうというワケ。」息抜きの余計な脱線で15分オーバー。

「形テキにはマニュアルだと思ったのにオートマだった。」いつもより長い文章だったが、さっそうと運転席に向かったジュンペイ君の言葉には、免許取立ての若者らしい誇りが感じられた。

昨夜のメニュー。手前朝鮮人参フライ、左上ノビルの和え物。右キムチ。十字架の道行で始まった今朝のミサ、信仰宣言もスラスラで、1年生筆頭の幼児軍団の活躍は何時もの通り頼もしい。献金係も手慣れたもの。閉祭の歌「イエス様がいちばん」は目を輝かせての熱唱。後の席で目を細めているお父さんは三十数年前の幼児軍団の一人。世代から世代へ、同じ教会で同じ信仰宣言が繰り返されている。教会の原風景がここにある。

17日、そんな島の小さな教会からジュンペイ君が旅立つ。

説教音声

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