愛のよろこび
昨年十月に開かれた家庭のシノドス後に出された使徒的勧告「愛のよろこび」は一昨年の2014年に出された使徒的勧告「福音の喜び」に呼応するもので、福音の喜びという広がりから家庭における喜びへと凝縮された形になっている。9章からなる大作でここにすべてを紹介できないが、第4章「結婚における愛」を何回かに分けて紹介してみたいと思う。
教皇が説く愛の賛歌
教皇は、愛は忍耐深い、に始まるコリント書の愛の賛歌に見られる愛の諸相はどの家庭でも当てはまることで、夫婦の愛、親子の愛を強めるのに有益なものであることを強調しておられる。教皇の解説に耳を傾けてみよう。
神の忍耐こそ愛
愛は忍耐強い。この言葉は、「神よあなたはいつくしみ深く、真実な方。怒るに遅く、すべてを治める憐み深い方」という 知恵の書(15.1)の言葉に照らして読む方がいい。次の箇所も併せて読むと神の忍耐深さこそが愛であると分かる。「全能のゆえにあなたはすべての人を憐れみ、回心させようとして、人々の罪を見過ごされる」(知恵の書11,23)。
神の忍耐に倣う愛であれ
こうして見てくると、愛の諸相の一つとしてパウロがあげる「忍耐強い」が神の特質であることが分る。神の愛が願うのは回心であって、その時をじっと待つ神の忍耐があるから私たちの今があると言える。さまざまなことが起こる家庭の中で、神さまに待ってもらっているという思いなしに家庭の平和は生まれない。だから、お互いに対する「無慈悲、憤り、怒り、わめき、そしりなどすべてを、一切の悪意と一緒に捨てなさい」(エフェソ4.31)とパウロは言う。神の忍耐強さに立ち返ることなしに家庭における愛の絆を強めることは出来ない。 愛は忍耐強い。肝に銘じたい。*解説は高見大司教
コメント