それでも再考

ブラザーロジェ---テゼ共同体の創設者。短いフレーズを繰り返し歌うテゼの聖歌は日本でも評判がいい。あらゆるレベルでの和解と赦しを目的とする。「観光でもない、仕事でもない…???ちょっと事務所まで来てもらえますか?」入国審査の係官は困惑した。取調室に行くともう一人の係官と共にパスポートをめくりながら不信感をあらわにした。出入国のスタンプがあまりにも多かったからだ。

「で、どこから来てどこに行くのですか?」日本語の話せないブラザーは紙切れを二人に渡した。「00カトリック教会。三陸地方での津波被害ボランティア」と書かれてあった。「あ、失礼しました。」二人は、丁寧に詫びて、何事もなく、無事、日本再入国を果たすことができた。

観光客でもなくビジネスマンでもないとしたらいったい何者?「宣教師です、と言っても信用してもらえない日本人の教養の低さよ!」ボクなら二人に軽蔑の眼を向けるところだが、ブラザーは違った。「彼らはとても丁寧でした。仕事だから当たり前です。」テゼ共同体の中心をなすのは和解と赦し。「それにしても、さっきの外人さん、終始ニコニコだったね。」取り調べを終わった二人の不信が穏やかな感動に変わった(ニチガイナイ)。平和を作る極意を見たよう。

話を聞いて、空港職員の親切をわずらわしく感じたり、「チケットを見せてください」と言われてカッカしたりする自分を恥じた。

昨日は、鹿児島は初めてというそんなテゼのブラザーをザビエル様上陸記念碑や福昌寺跡その他を案内して、朝の11時から丸一日おもてなしに終始したものの、内心は半パニック。明日の講話の準備、手つかずの年頭教書、それに、14日の市民クリスマス講演。いずれも目の前。間にインド巡礼が入るので10日帰国とはいえ待ったなし。アア…。

しかし、ブラザーの短い体験談は混乱していたぼくの頭を整理してくれた。先ず、一番の懸案である市民クリスマスのテーマが「それでも、平和を作る人になりたい」に収まった。カギとなるのが「和解と赦し」。詳しくは当日の話に譲るとして、昨晩ブラザーにテゼ共同体のDVDを見せてもらった数人の若者たちは「ぜひまた来てください」と喜んだ。

夕方6時半、ザビエル様命日祭のミサ。

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