「ボクはカメさんランナーなので一番短いコースでお願いします。」そうでなくても、大会事務局としては、72歳という最高齢の参加者となれば、最短距離9.7キロを上げたくなったに違いない。しかも、高低差ほぼゼロというフラットコース。事務局の皆さんの心遣いに感謝しながら気持ちよく走ることができた。
ところで、話は前後するが、我らBチームの第一走者は、なんと、時々テレビ等で目にするあの白装束の修験者。もちろん、白装束ではなかったが、見るからに精悍な山伏の風貌。正確には、神道扶桑教の修験者。扶桑が日本の別称であることも初めて知った。
ともあれ、彼にとって上りの第一区間はもっとも得意とするコースで、10.85キロをあっという間に走り抜けたらしい。第二中継所で待っていると、タスキ無しの彼が真っ先に飛び込んできたのでスタッフも目を白黒。聞くと、タスキをつないだ後、物足りないのでそのまま走ってきたという。ところで、この恐るべき怪物君の扶桑教の信条は「天地平安・萬人安福を祈る」(扶桑教HPより)もの。やはり、どの宗教も麗しい。
話を元に戻そう。市内の観光名所を回るコース設定のため、7つもの折り返し点が設けられていて、そのうち3つが我らが最短コースに。下鴨神社を折り返して間もなく、目を引く鮮やかな色の衣装に身を包んだ激しい踊りの若者たちが。5キロ当たりだったか、植物園(?)の中を抜けると視界が開けた。賀茂川沿いの街道。あとは河川敷に降りてひたすら中継点を目指した。
ゴール直前には、またも甥と姪の姿が。なんと愛すべき二人よ。目印の白いテント前にはその瞬間をとらえようと何人ものカメラマンが。思わず両手を上げてゴールインのポーズをしたら、「急いでタスキを…」と促され、自己陶酔から覚めた。あわてて、無視された形の最終走者に謝り、握手してタスキを渡した。
テントの中で感想を聞かれたので、本能寺の祈りの集いに始まって、前回書いたようなことやタスキをつなぐ意義について自分なりの思いを話した。ホテルへの2.5キロは徒歩で帰った。35キロ地点でフルマラソンの走者たちと遭遇。かつての敗残兵のような自分が蘇った。
5時半、カテドラル横のホテルで、記念撮影に続いて表彰式と打ち上げパーティー。宴半ば、美味しいお酒に酔っていると突然の呼び出しにあわてた。「スワ、鹿児島で緊急事態?」と思いきや、ナント!スピーチの依頼。前もって知らせてもらってなかったので、場つなぎの緊急出動らしいと、またも前日の祈りの集いに始まって延々とおしゃべりに花を咲かせていると、「手短に…」の教育的指導。どうやら、最年長ランナーということで目を引いたらしい。
テーブルに帰ると向かいの若いお坊さんの「感動しました」にまた勢いづいて二人でカンパイを繰り返した。話の続きは、妹宅に向かうタクシーの運転手さんにも。「いいお話です。家内にぜひ聞かせます。」家庭内平和にも貢献?
インターフェイス(信仰)祈りの駅伝顛末記完。
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