聖地の展望所
5人の兄弟が殉教したというマジュは実学の中心地でもあったという。実学と言われてもボクもよくわからないのだが、読んで字のごとく実際の生活に役立つ学問という意味で、ほとんどの学問は実学といえるらしい。実学の中心地だったということは、マジュにあらゆる学問が集中していたということなのか。質問の時間もなく、本命の聖地に向かった。会場の黙想の家から東南に1時間あまり行ったところにあって、漢江とブカンガン川が合流する景勝地。川沿いに設置された展望所に案内された。書家によるパフォーマンスがなされるということだけが聞かされていた。大勢の観光客と入れ違いに長いスロープをたどった。奥が展望所で、漢江の上流らしかった。
両手義手の書家
しばらくすると、両手に義手をつけた60代かと思われる細身の男性が紹介された。カトリック信者。介添えの人たちが横書きの紙を広げると、金属製の指で握った大きな筆を巧みに動かしながら四隅に何やら書き始めた。四福音史家を象徴するライオン(マルコ)、牛(ルカ)、鷲(ヨハネ)そして天使(マタイ)を次々と描いた。左から右に聖書のみ言葉が書かれたが、どの箇所だったか失念した。それはともかく、感心したのは自在な筆の運び。なめらかで、とても義手とは思えない。日本で見る介護ロボットの一種かと思うがそれらしい大げさなものは背負ってない。韓国テクノロジーのレベルの高さのせいか、それとも義手を使いこなした彼の努力のたまものなのか。ここでも質問する間もなくミサのため聖堂に向かった。
ミサとマリア様と冷麺
主日のミサ参加者は150人ほどの小さな共同体で、なるほどお御堂も鹿児島にも普通にありそうな小ぶり。5人の殉教者を記念する小さな庭園は所属信徒による設計で、拷問に使われた道具が各所に取り入れられていた。庭の敷石は当時の石臼を再利用したという。ミサは素晴らしかった。今回は大勢の司教たちが来るというので、近隣の小教区から聖歌隊や演奏者たちがやってきたそうで素晴らしい聖歌隊の奉仕だった。夕食会場は冷麺が好評だという信者の店。入り口には大きなマリア様が立ち、誰かが「修道院みたいだ」と言ったが、ボクは招き猫ならぬ「招き聖母」に違和感を覚えた。もちろん、信心深い店主の気持ちはそんなものではないと思うが。あまりにも大きなどんぶりだったので無理かと思ったが結局汁まで飲み干した。それほどおいしかった。こうして本会議2日目が終わった。
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