ガッカリ晩餐会
5日の最後の晩餐は散々だった。「最後の晩は日本料理にしよう。サケも飲もうね。うーオイシイ、オイシイ。」そういってワットがおどけたのは数日前。
出がけに、ホテルの人とも、ハイヤーの運転手ともオイシイ話をしているので、聞いてみると、オイシイは日本食の代名詞になっていて、誰でも分かるとのことで納得したのだった。
日本人従業員が「いらっしゃいませ」とにこやかに出迎えてくれる本格的な日本料理店を想像していた。値段が張るのは世話になったのだから覚悟の上だった。そして「インドネシアでの十日間のミーティングに出席した際に買った」と言って、数日前にもらったばかりの長袖の立派なバティックのおみやげを着込み、髪も整え晩餐会に備えたのだった。「ワーよく似合うよ」とワットも喜んでくれた。
ところが、三十分ほど走って着いた先の様子がどうもおかしい。「ホテル?」「違う、違う。シーコムスクウェヤーだよ。」人気の場所らしく多くの人で賑わい、モールのようだった。いぶかしく思っている間もなく、「ここだここだ!」ワットが勇んで店の前に立った。オイシイが「OISHI」という店の名前であることがすぐに分かった。しかも、日本食ファストフード店であることも店の様子からすぐに分かった。気が抜けるとはこのことだ。
「サケがないね。」メニューをめくっていたワットが悲しそうに言った。それよりも何よりも、こんな店に連れてきたりして「そんなもんあるわけがない!」期待を裏切られた怒りを口にしたいところだったが、そこは紳士的に「ガッカリだね。」その上、寿司らしい寿司もなく、いろんな種類のそばやらラーメンのメニューばかりに失望が倍加。選ぶのをやめ、腹立ち紛れに目に付いた一番高い「うなどん(159バーツ=約477円)とビール(45バーツ=約135円)!」二人は50バーツかそこらの焼きそば。結局四本のビール代と合計約600バーツの晩餐会となった。もっとも、出費が十分の一で済んだのは何よりだったが。
しかし話はまだ終わらない。店を出ようとしてふと見ると、ラップのかかったお持ち帰り用の寿司が何種類も並べられているではないか!「何だここにあったんだね。いや実はボクも初めて来たもので、ゴメンゴメン!」ワットが謝った。「二つ目のガッカリだね。」「いやーホントにすまなかったね。」笑いながら店を後にした。
中を一巡りして帰ろうということで衆議一決。ところが、三つ目のガッカリがすぐに現実となった。なんと、OISHIのすぐ隣には、先よりはかなりましな店があって結構賑わっていたのだ。しかも、ここならサケも用意されていそうな店構えだ。今度はワットが「三つ目のガッカリだね」と言って笑った。ピクニックは百点のおもてなしだったというのに、マッタク!ともあれ、彼とは何があっても楽しい。
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