東京の田舎を行く
昨日は東京の田舎との出会いだった。東京都で始まる住所を見るとどこも都会。しかし、八王子という町が、武蔵野の西のはずれと知るのにはそれほど時間はかからなかった。
東京駅から中央線特別快速で約50分。改札口を出てタクシーに乗る。行き先を言ったが、運転手は小首を傾げるばかり。「住所は?」「八王子市下オンナ町・・・」「あーハイハイ・・・」「15分ぐらいですか?」「イヤそんなもんじゃないです。遠いですよ。高尾からだと近いのですがね。」
約40分後に目的地到着。3、8**円なり。八王子が西のはずれならここ下恩名町は西のはずれのさらに端の山の中。そこに、同郷の中学で二年先輩の司祭が住む「聖パウロ学園高等学校」はあった。田舎は田舎でもさすがに東京の田舎。こんな辺鄙?なところでも生徒は集まるのだという。小川が流れ栗林があって自然は奄美に負けない。花の都東京のもうひとつの顔を見た。
彼は、僕の到着を待ちかねていたかのように、すぐに姿を現し、小さな体いっぱいに歓迎の意を表してくれた。「こんな遠いところまで来てくれてありがたい」と言って涙ぐまれた。声にも力がなく、歩く姿も弱弱しく、数年前とのあまりの違いに愕然とした。かつては70名もの修道者たちが住んでいたという大きな修道院の住人は今やわずかに五名。それに数匹の猫たち。元気な高校生たちの姿がせめてもの慰め。
近くに住む奄美出身のシスター数名が駆けつけて昼下がりのささやかなパーティ-が始まった。おかげで、もうひとつの修道院での5時の待ち合わせ時間を大幅にオーバー。
さまざまな若者たちの電車の中での姿を楽しみながら東京の田舎を後にした。
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