病んで癒された
洗礼用具一式、それに堅信も想定して儀式書とともに必要な物をバッグに詰めて愛車、と言っても自転車だが、を駆っていざ出動。
癌の告知を受け、快方に向かっていた矢先の原因不明の呼吸停止でICUへ。一ヶ月ほど前のことだ。「なんとか元気になりました」との電話を受けたのは一週間前だったか。「明日実家に帰る」との電話で駆けつけたというわけ。
前回よりは長めの面会。聞くところによると、一週間後に意識が戻ったのだという。「脳に障害が残るかもしれない。」主治医や周囲の心配をよそに奇跡的回復。「九死に一生を得ました」とは奥様の弁。回復とはいっても酸素吸入が離せない状態だが「時々見かけるでしょう、こういうのを引いて、あれですよ。」かたわらに立てかけたキャスター付き小型ボンベを指しながら屈託がない。
「癌になって死生観が変わりました。変なプライドからも開放されました。」「アーダコーダ」と駄々をこねる周りの患者さんたちを見るとかつての自分を見るようだとも。そこへ、明日の新幹線に使うというレンタルの車椅子が運び込まれた。「今までの自分だったら惨めになるところですがそれも平気になりました。」ニコニコの解説。
「病気を通してあなたの一番いいところが現れた。神様が清めてくださった。」「ハイ。」「で、洗礼はどうされますか?」前回、本人からそんな話があったので、直球を投げてみた。「今すぐ死ぬとは思えないが、いよいよその時になったら、というか葬式はお願いします。」「あ、それは任せてください。」長年の付き合いとはいえ、なんだか葬式の営業に行ったみたいだった。
「余命一ヶ月」との宣告を受けているというのに、40分の間、コレッポチの悲壮感もなく、かといって強がっているふうでもなく、終始晴れ晴れ。まさに病んで癒された。神様がもう少し時間をくださって癒しの完成度を高めてくださるよう頑張ろう!二人で気合を入れた。
「日々の祈り」を手渡して中身を少し紹介したら「父が唱えていたお祈りですか。」声を低め、神妙な面持ちで感慨深そうに口ごもったのが印象的だった。一緒に唱えた後「命の油です」と言って額と両手に塗油して退室した。
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