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黙想会本格始動

作成者 admin投稿日 2010年05月25日 21時47分 最終変更日時 2010年05月25日 21時47分
黙想はチャレンジ

緑燃ゆ

司祭団の黙想を任された講師の話というのは「司祭用」に難しくしがちだが肩の凝らない具体的な話でつい引き込まれてしまう。

テーマが「司祭年に当たって」ということもあって一つの話に一人の司祭が必ず登場する。今朝はブラジルから日本にいる南米人たちに70通のクリスマスカードを送る司祭の話。それだけならどうということはないのだが、70通の内容がみんな違うとなると話は違う。かつて福井や富山を駆け巡って南米人を訪ねて世話をしたことがる司祭でその大半は刑務所や留置所にいる。そのときに面会した70名なので一人一人違う内容になったのだという。講師の司祭は自分がありきたりの年賀状を送っていることに愛があるのだろうかと正直な胸のうちを吐露された。

大学で教えておられるだけあって言葉がはっきりしているし話によどみがない。ボクの場合、気持ちや思い入れが強く早口でまくし立てている感じで話術が荒削り。彼はさすがにシティーボーイのスマートさ、こちらは荒くれ野武士?そういえば5年ほど前の研修会で同席したプロテスタントの牧師さんが指導司祭にたてついてばかりいるボクを「やくざのような神父」と評されたことが蘇った。もう少し落ち着いて冷静に噛んで含めるような話し方を身につける必要がある。

そして示された聖書の箇所はマタイ25章31-40。「最も小さいものの一人にしたのは私にしたのである」という最後に「羊を右にヤギを左に」という最後の審判の話。小さいものと連帯しておられた主と共に「オプション フォ ザ プーア」。久しぶりに聞く言葉だ。「貧しい人優先」ということだが、最後は末期の患者の側に何十分でも寄り添うホスピス医師の著書を紹介しながら「司祭も同じで神との時間を過ごす時間がいかに大切であるかを感じた」と結ばれた。

11:00のミサ前に二つの訃報。早速みんなに知らせて祈ってもらった。蕎麦屋でお昼をとり、弔電二つを事務所に。どんよりした朝の曇り空がカラリと晴れ渡った五月晴れに。待望のランは快適とはいかなかった。往復で7キロどまり。秋の紅葉もいいが、初夏の霧島の新緑はみずみずしい緑が美しい。

午後の講話の中心は「良いサマリア人のたとえ(ルカ10,30-35)」の解釈を巡って。話がようやく司祭向き?になった。人命よりも自らの立場や都合を優先させた祭司とレビという宗教家ではあったが、一方良いサマリア人の行為は常識はずれ。強盗が近くに潜んでいるかもしれないのに!荒野のど真ん中に宿屋などないはずだからかなり遠くまで運んだことになる。そんなリスクを冒してまでも敢えて手を差し伸べたサマリア人。彼を突き動かしたのはスプランクニゾマイというギリシャ語「哀れに思う」、すなわち腸(はらわた)が打ち震えるような心の動きだったと思われる。

そんな体験はあるのかと問われた。思わず引いてしまったが、最後の話も南アフリカで生涯をホスピスやエイズ患者のために捧げた司祭の話。その直接の動機となったのが、ハンセン病棟での実習を終えた司祭が患者さんから受けた別れの言葉だったという。「神父さんいろいろありがとう。でもあなたは私たちと一緒に風呂に入らなかったね。」一念発起エイズ患者の多いを南アフリカを目指したのだという。重たい話だったせいかさすがにみんな神妙に部屋に引き上げた。

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