一同納得し
外でのお迎えを止め、趣向を変えて、部屋での様子を観察したりしながら廊下ですることにした。するとどうだろう、どの子も向こうから元気のいい挨拶をしてくるではないか。門前での2週間、こちらから声をかけていた頃とは大違い。「ホラ、園長先生にご挨拶は?」と促される子もいたというのに。しかし、昨日のお誕生会のせいだとすぐに解せた。子供全員と会うのは昨日のお誕生会が初めてとあって、主任先生が紹介したからだ。「前の園長先生が病気になったので新しくなった…」との解説付きに、目を大きく見開いた子供たちが一斉にボクを見つめた。その反応にボクが驚いた。「まいあさ、むかえてくれるので、そうじゃないかとおもってはいたが、しぎょうしきでしょうかいされたえんちょうせんせいとはちがうし、いったいどうなってるの?ヘンだとはおもっていたが、やっぱりそうだったんだ」と、一同納得したらしい。
めでたく承認
それにしても、先生の権威はすごい。先生からの紹介もなしに、「ボク園長先生」と勝手に自己紹介したのではダメで、先生の権威のもとで初めて「このおじさん、本物の園長先生なんだ」と疑念を晴らすことができるのだ。そんな子供たちの変身ぶりもすごかった。今まで、無視して通り過ぎた子も面倒くさそうに小さな声で返していた子も、どの子もみんな目が合うとニッコリして「おはようございます!」なのだ。中には、照れくさそうにする子もいたが、「これまでうたがっていてごめんなさい」と言いかったに違いない。
個性が光る神様の手造り
こうして、一気に格上げされた園長先生が、子供たちにとっても一気に身近な存在になったらしく、廊下を行き来するボクに興味津々。数人で、棚の向こうから顔を出したり引っ込めたりしてボクの気を引こうとする女子軍団も。かと思うと、入園したての男の子が深刻な顔で近寄ってきてボクの手を取ってささやいた。3度目に分かったささやきとは「こわいところにはいかないの?」なんのことか分からなかったが「行かないよ。」後で先生に聞いて分かったことだが、怖い所とはナントお御堂。そういえば、お誕生会の時、一番後ろの席で、先生にあやされながら泣いていた子だ。十字架のイエス様が怖いのかな。そうではなく、シーンした場所が苦手らしい。まさに神様の手造り、豊かな個性が光る子供の園は毎日が新鮮。明日は親子遠足。同行するが遊んでもらえるかな。
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