ユニットバスの怪
ようやく普段の生活リズムがつかめてきた古い新居には最新型のユニットバスが設置されている。一カ月以上も経つというのに、実はこのユニットバスに悩んでいたのだ。お湯を溜めるための蛇口がないからだ。前の住人はどうして湯船を満たしていたのか。しかし、このところの猛暑でシャワーだけで十分間に合っていたので湯船につかるという欲求すら湧かなかったものだから、それ以上深く追求することはなかった。
乗り越えられなかった風呂の壁
だが、このところ、朝夕秋めいてきたこともあって湯船でゆったりしたい気持ちが高まってきた。そこで、ある日、給湯問題は未解決ではあったが、「ならば」ということでシャワー用のヤツを直接湯船に入れて栓をひねった。するとどうだ、突然飛びあがって暴れまわり、所構わずシャワーの雨。あわてて止めたものの一計を案じた。湯船の横に設置された取ってに通して固定してことなきを得た。暴れ馬を大人しくさせることに成功したかのような我がアイデアに大満足。しかし、確かにおとなしくはなったもののシャワーで給湯というのも最新式にしてはダサい過ぎる。第一時間がかかり過ぎる。ま、その日はそれで済んだが、さすがにおかしい。赤と青の蛇口があっての風呂ではなかったのか。
想像力の欠如
そして、昨日、歩きを中休みにして風呂場に行き、給湯用蛇口がないことの意味を考えた。結論は、蛇口がなくても給湯できる。「そりゃあそうだ。」そうでなければ魔術師にでもならない限りこの風呂には入れないことになる。で、腰を据え、子細にパネルを観察した。しかし、「給湯」の文字はない。あるのは、「おいたき」、これは「ぬるくなったお湯があることが前提」ということは妹の家で見て知っている。ま、それはいいとして、その上の「自動」がよく分からなかったが、こうなったら何でもいい、押してみた。するとどうだろう!湯船前方の丸い金属の下からボコボコと水が湧きだすではないか!思わず目を見張った。「アヴェー!」「あの金属は、熱くしてぬるくなったお湯の温度を上げるためにある」と信じて疑わなかったからだ。出てきた水にそっと指を入れてまた驚いた。暖かいのだ。これですべてが解せた。原始生活をしていたわけではないのだが、基本的にボクって機械音痴カモ。シュン!イヤ、単なる想像力の欠如によるものだった、と分かってダブルシュン!
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