強い手強い足強い心
気に入らないことがると猛然と抵抗してついには床に仰向けになって非暴力抵抗の自己主張。ホールをでたところで廊下に座り込んで駄々をこねているA君と遭遇。「分かった、分かった。じゃ、一緒に行こう」そう言って手を取るとひょいと立ち上がり一緒に歩き始めたものだから周りが驚いた。階段も手すりにもつかまらずにドンドン。勢いづいて二段跳びも。さすがに短い脚では着地できずに右手にしっかりぶら下がった。最後の1段を終わったところで、「A君、やったねー強い足だ!」強い手、強い足、強い心。さっき話したばかりだ。そのA君、周りが感心しているのをしり目にさっさとクラスに行ってしまった。いかにも、「楽勝!」と言わんばかりに意気揚々と。
A君の自尊心
今さっき、抱っこされて廊下に出たところで先生から降ろされたことに泣きながら抗議していたというのに、一体2歳のA君に何が起こったのか。「さ、一緒に行こう」の一言の威力に我ながら驚いた。歩くことを覚えた子供は、「自分の足で歩く快感を味わいたい。」ずいぶん前のことになるが、そんな意味の事を聞いたことがある。そういえば、階段を降りるときの2段跳びは足を踏み外したのではなく、明らかに「無謀なチャレンジ」だった。軽やかな足の運びから分かった。「ボク一人で歩けるんだぞ!」と胸を張っている風情すら感じたのだ。2歳児の自尊心?ともあれ、こうした幼児期の体験を人がいつまでも記憶にとどめておくことができたらみんなが心理学者になって、幼児虐待など決して起こらないだろうなあ。飛躍しすぎた?それにしても、初めての園長先生のおハナシに黒い瞳を輝かせて聞き入っていた姿が印象的だった。
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