チェジュ島賛歌
世界各地から多くの観光客がひしめいていた。登りの階段数は524。人の波は途切れることなく頂上まで延々。頂上は頂上で記念撮影の人人人…。頂上からの絶景は息を飲む。カラフルな家々の屋根は十数年前に訪れたマラッカの光景そのもの。アントニオによると、南の方にはもっと綺麗なところがあるのだという。半日の観光ではさわりの部分だけということらしい。
「一週間必要です」とのことだが、一週間も滞在したら家族が破産するかもしれない。新司祭にもかかわらず、ホテルから食事の世話まで一手に引き受けていたところをみると、これがチェジュ流のおもてなしか、と。どこか奄美の心に似たものを感じた。人のいい兄上は、笑顔が耐えず、海岸に降りると貝殻を拾っては寝占神父さんに手渡していた。素朴な一生懸命のおもてなしにこれまた親近感も大。
世界遺産巡りのあとのお昼は、アワビ丼。この店の名物料理で一番有名ということだけあって、満席に近いテーブルにはアワビ粥のオンパレード。一品だけの食堂?と思ったが、考えてみると、ラーメン屋があるのだから、アワビ粥屋があってもいい。しかし、広い食堂で、全員がアワビ粥を食べている姿はやっぱりなんだかおかしかった。
ともあれ、これはどの店でもそうだが、ときには5種類以上もの無料の付き出し、しかもお代わり自由とくれば、単に太っ腹という評価を超えて、食文化の豊かさと言えばいいのか、無償のおもてなし文化と言えばいいのか、戸惑うほどだ。いずれにしろ日本では考えられない。話がそれたが、大根を細く切ったキムチとアワビ丼との相性は抜群。ここの国の人々は、美味しく食べる秘訣をいくらでも知っているようで、食文化の奥の深さには驚くばかりだ。
アワビ粥を堪能して海岸線沿いに空港へ。途中降りた海岸は12万年もの昔、噴火によってできた島だけあって、溶岩が迫り出したことを容易に想像させるもので、複雑に広がり、玄武岩質の黒くゴツゴツした岩肌は人を寄せ付けない峻厳さがあった。それでも、澄み切った海水に身を任せて揺れる青のりの横にはヒジキが生えていて、「食べられるんです」とか何とか言いながら兄上がモグモグやって見せたがボクは遠慮した。
さすがに、観光客を案内しているベテランドライバーだけあって、こうして思いがけない寄り道を楽しみながら、4:20の飛行機に程よく間に合わせてくれた。チェジュは今が観光シーズン。貴重な稼ぎをフイにしてのおもてなしは気の毒だったが、それだけに、多くの観光客が兄上のタクシーをたくさん利用してほしいと祈るばかりだ。
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