兄弟宗教
教区の全司祭が集う司祭大会は勉強会の色合いが強い。最終日の今日は2人のイスラム教徒からの体験談。
先ずはイスラム教との出会いから。最初の方は医学を目指した最終学年で退学。ネットを通してスーフィー神秘学と出会う。スーフィーとはもともと羊毛を意味するアラビア語で羊毛の薄い衣をまとって清貧のうちに修行する人のことだという。アッラーの神との一致を目指すいわば神秘主義者たちのことのようだった。ご本人も神秘体験や健康上の回復という体験を経て「アッラーだけが神」と信仰告白をすることに。4年前のこと。
そして、サウジアラビアの王様からの招待でメッカ巡礼も果たした。紹介された現地の写真は興味深いものだった。なかでもザムザムの水。創世記21章にはアブラハムが2人目の奥さんハガルと息子のイシマエルを家から出す話がある。そして2人はべエル・シェバの荒れ野をさまよう。死を覚悟したとき主のみ使いが現れ泉を発見する。コーランにもほぼ同じエピソードがある。水を欲しがって泣くイシマエルを置いてハガルはうろるろする。しばらくすると子供が泣き止んだので振り返るとなんとイシマエルの足元から水が沸いていた。これがザムザムの泉。ルルドの水と同じ癒しの水として有名。
聖書のエピソードと共通するものは多い。アブラハムの正妻サラに子供を授かる話も。他に十例以上が紹介された。「どうしてこうも共通したエピソードが多いのですか?」思わず質問した。「さあコーランにそうあるんです。」「ユダヤ教との出会いがあってその影響では?」「あ、そうです。確かに出会ってますがその影響かどうかは分かりません。」アラビア語のコーランだけが正典だとする彼らにとってそんな比較論証は念頭にないようだった。
昨年のメッカ巡礼者は240万人だったとか。巡礼期間は3日間だけ。3日間だけのために4万張りの冷房完備のテントが設営されるという。
日本人のイスラム教徒は約1万人。外国人は約10万人。ちなみにお隣県の熊本大学には留学生やその家族150名がいるという。鹿児島大学にも多いのかもしれない。他に興味深い話は多かったが紙面?が尽きた。
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