懐の深さ
今日12月7日は、聖アンブロジオ司教教会博士の記念日。この聖人には興味深いエピソードがある。父は総督という立派な家柄で340年、ドイツ、トリール生まれ。
父の死後ローマで勉学に励み、官職に任用された。370年32歳の若さで総督に任ぜられてミラノに赴任。「司教のような気持ちで治めるように」と熱心な信仰の持ち主である上司に励まされたという。その言葉通り、アンブロジオは立派な政治を執り行い、人々の信頼と尊敬を受けるようになる。その頃、ミラノ司教の帰天に伴い、後継者をめぐって異端アリウス派の妨害により町は混乱し、暴動の危険さえあったという。
そんな中、興奮する民衆の中に入って説得に努めたところ、一人の少年が「アンブロジオさんが司教になればよい。アンブロジオさんが司教になればよい」と叫びだしたという。すると町の人々も異口同音に叫びだした。「そうだ!そうだ!アンブロジオ司教だ。アンブロジオ司教!」彼は驚いて叫んだ。「冗談じゃない!私にはそんな資格はない!」当然だ。彼はその時「異教徒」だったのだから。
やっとの思いで、その場を逃れた彼は友人の家に身を隠して人々の興奮が静まるのを待つことにした。しかし、人々の願いの声は日増しに高まり、付近の司教や司祭たちまで「アンブロジオがいい!」と呼応するありさま。ついに皇帝までも民衆の声に従い、さすがのアンブロジオも従うことに。そうと決まったら早い方がいいとばかりに、すぐに洗礼を授け、その年のうちに司祭叙階され、そして374年12月7日司教叙階。鷹揚(おうよう)というか、教会のふところの深さ!ということで、今日は彼の司教叙階1638回目の記念日というわけ。
もう一つの興味深い話がある。実は、あの告白録で有名なアウグスチヌスの母親聖モニカも当時の人。彼女はアンブロジオ司教に面会し、息子の回心のために祈ってくれるように涙ながらに懇願したという。「御安心しなさい。そういう涙の子は決して滅亡に陥るものではありませんから」と慰めたという。やがてアウグスチヌスはアンブロジオ司教との出会いで回心、そして聖人となった。以上はネットの解説から脚色。
ついでに、もう一つ。これはぐっと身近な話。今朝開封した封書の文面から紹介しよう。「さる11月23日、『第30回シドッチ上陸記念祭』を開催した折には、ご多忙中にもかかわらずご出席を頂き、…誠にありがとうございました。」教区のシドッチ祭実行委員会からではない。発信は「世界自然遺産の島やくしま屋久島町役場」。...の部分は「祭礼を賜り」。教会当局からの挨拶のこと。日時も11月23日午前9:00と決まっている。ともあれ、行政側がカトリックの宣教師を記念するのはここ屋久島町だけ?さすが世界遺産の島だけに懐が深い!
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