追憶
港の近くの割烹付属のひなびたスナックの雇われマスター。夕方店を覗くと、だいたい暇そうに週刊誌を読んでいた。
ボクの顔を見ると、「行こか」と腰を上げる。店はそのままにして二人で出かけた先は港の防波堤。いつもの場所に腰を下ろして釣り糸をたらす。やがて街の灯りが増し、夜もとっぷりと暮れた頃、「アンタお客さんよ!」割烹で働く奥さんが呼びに来た。「ちょっと行ってくる。オレの頼む。」釣り竿を託して店に向かって小一時間。
「ドガンヤッタ?」と言いながら隣に腰を下ろした。釣り再開の言葉はいつも決まっていた。運良くかかると「お、キタキタ。キタロキタロ!・・・アバー、またウマヘヤロー!」かかった時のセリフも大体同じということもおかしかった。それ以外の魚がかかったためしがなかったからだ。ウマヘ。土地の呼び名だが正式名称は知らない。15センチにも満たない細長く黒い縞模様のある魚だった。
「ウマヘに乾杯!」客のいない店のカウンターに気の毒なほどわずかな刺身を小皿に盛り、二人で一杯やって帰ったものだった。「正月には我が家で飲もうワイ。」ぶっきらぼうだが、彼にしてみれば、最大の歓迎の言葉をくれたのはいつだったか。・・・とここまで書いたのが日曜日。中断の理由は忘れたが、30年近くも昔の話を書いたのにはワケがあるのだが、賞味期限が切れたので、続きは省くとして、昨晩、実話のような物語のようなお話を読んだ。
ディズニーそうじの神様が教えてくれたこと。鎌田洋著。定価1.100円+消費税。
2時間で読める本だが、ほのぼのとして泣かされる。そして、心が優しくなる。みんなが読んだら世の中もっと良くなるに違いない。そして、それは足元から始まることに気がつくに違いない。上記のボクの話にどこか通じるものがあった。著者はディズニーランドを退職して、そこで学んだことを人々に伝える会社を起こし、現役時代を追憶しながらこの本を書いた。
ボクが島を離れたあと、あの雇われマスターも独立して店を持った。小さなウマヘの刺身はもうない、と思う。繁盛していると聞いた。今年の教会訪問の時には顔を出したい。アバー!と目を丸くするに違いない。
久しぶりのお絵かき。「仕事柄でしょうか、穏やかな絵です」にみなさんがうなづいた。吉野台地は春爛漫。
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・木犀(もくせい)科。
・学名 Jasminum nudiflorum
Jasminum : ソケイ(ジャスミン)属
nudiflorum : 裸花の、無毛の花の
Jasminum(ジャスミン)は、アラビア語の
「yasmin(マツリカ)」の名に由来する。
学名 J へ
・開花時期は、 1/10頃~ 3/20頃。
・中国原産。江戸時代初期の頃に渡来。
・春先に鮮やかな黄色の花が咲く。
・昔から鉢植えや盆栽などに利用されている。
・一重と八重のものがある。
・黄色い花が梅に似ていることと咲く時期が
同じことからこの名前になったが、
本来、梅とは関係なく、ジャスミンの仲間。
(香りはない)
・中国では、旧正月(2月)頃に咲き出すので
「迎春花(げいしゅんか)」と呼ばれる。