罪なマイナンバー

3年前の今日撮った富士山。フィリピン北部の田舎に住む持病持ちの貧しい青年との付き合いはかれこれ10年になるかもしれない。付き合いといっても、会ったことはなく、もっぱら手紙でのやり取りだけだが、今年もクリスマスのあいさつが届いた。教会を除いて、日本の社会では、クリスマスは年末行事になってしまっているが、フィリピンはご公現までがクリスマス。これも終わってしまったが、フィリピンでは9月に入るとクリスマスムードになると聞いたことがあるが本当らしい。

それはともかく、彼の手紙の日付は12月23日。12日に落手したので約3週間もかかったことになる。経済成長は6%余りと豊かさへの道を邁進しているフィリピンだが、地方への恩恵はまだまだらしい。かつて、東南アジアの人々を踏み台にして日本は豊かになったと聞かされたのがフィリピンとのかかわりの動機だった。それに、神学生時代それぞれに恩人がいて、11月になるとお礼状と共にクリスマスカードを書くのが習わしだった。ボクの恩人は、年金暮らしのカナダのおばあちゃんだった。北ルソンの神学生と出会った時、「今度はボクがする番なんだ」と素直に思えた。

そうして始まったアジア会という大きい名前の小さな基金。細々と30年。今ではこの病気持ちの青年だけになった。クリスマスの頃になると親切な修道院にやってきてシスターたちの下働き。修道院の恩人の計らいで銀行口座も作ってもらい1年1回の振り込みがなされる。

いつもの癖で前置きのおしゃべりが長くなったが、10時過ぎに送金に出かけて終了したのは何と夕方5時。すべては、マイナンバーのせいだ。「すみません、マイナンバーが必要になったんです」で1回目は門前払い。「すみません、写しではなくカードそのものがいるんです」で2回目もアウト。「住民票の写しでもいいんですが、オタクのものには、マイナンバーがありません」で3回目。ワナ3年前の今月ソウルで見たキムチカメ。ワナを抑え、「いつくしみ、いつくしみで」退散。

原本なるカードが見当たらないのでこんなことになったのだが、部屋に帰り、どっかと椅子に腰を下ろし、気を静め、「まさかねー」。じっとコピー機をにらんでヒョイと蓋をあけた。「いないいないバーッ」とばかりに原本が潜んでいるではないか。「そういえば、ウンウン、事務所に提出をと言われて…うんヤッタやった!」今頃気がついたとは、認知の一段の進化にガクッ!

ロゼンド君が首を長くして待っているに違いない。落ち込んでいるヒマはない。でも、さすがに4回目となる恥さらしには耐えられず、9時までオープンという本局へ。ヤレヤレ。悔しいが、今日はこういう1日だった。それにしても、罪なマイナンバーではある。

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