100人余りの子供が入園できないのは、周辺住民の理解が得られないから。行政の指導のもと進めてきた街中の保育園。便利で、誰もが両手を広げて歓迎、かと思うのだが。子育て中の人にとっても子育てを終わった人にとっても、子供の声は天使の声ではなかった。今朝の新聞で読んだ。
20年ほども昔のことになるが、幼稚園の裏には200坪ほどの土地があって植木が沢山あった。赴任したての頃、持ち主を捜し出し、ビールケースを抱えて挨拶に行ったことを思い出した。予期しない訪問とあいさつの品に驚かれたことは言うまでもない。財政的保証もないまま主任のシスターと「欲しいね」ということになったからだ。どこで聞きつけたのか、早速、人の良さそうな不動産屋が来られた。その時聞いた言葉を忘れない。「幼稚園や学校の側の土地を買う人はいません。子供の声がうるさいからです。」
理事会に諮ったが、学園としても右から左に出せる額ではなかった。やがてシスターは転勤となった。あとで聞いたことだが、シスターは去る時、裏の畑にマリア様のおメダイを投げ込んだのだという。あれから20年。裏の畑は、今では幼稚園の駐車場になっている。そういえば、幼稚園の南側の角の古い家。アクセスの悪さもあるとは思うが、未だに売れないでいるという。
子供の声がうるさいというのは、遠慮なく泣き叫ぶ、大声を上げるからだと思うが、モンテッソーリの子供たちはやみくもに大声を上げない。当時、天気のいい日はジーパンに着替えて子供たちの攻撃に備えたものだ。子供とはいえ、束になって足元にまとわりつかれたらお手上げだ。地面に倒すや否や「ソレッ」とばかりに馬乗りになる。さすがに苦しい。「タスケテくれータスケテくれー!」。すると、年長の女の子がやってきて、腰に両手をあてて仁王立ちになり、「ヤメナサイ!園長先生可愛そうでショッ!」優しいオトコドモはが素直に従ったのは言うまでもない。その時の子供たちが、30才かそこらになっているはずだ。親になって、子育て中の子もいるに違いない。
夜のニュースでインタビューに答えていたご婦人は40歳。冒頭の保育園解説反対派。やはり子供の声のを気にしていた。子供がいない人なのかもしれないが、子育てを終わったら、「子供の声は聞きあきたのでもうたくさん!」でないことを祈る。
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