奄美で生を受けて82年故郷奄美でよそ者を体験したはなし

スマホも故郷ではなかった

検索したのは宇検漁港。サシバ観察会の集合場所。到着までの時間はⅠ時間3分。50数年前に一度、20数年前に一度、そんな記憶しかないので処女地みたいなものだ。意外と近い。それでも、ゆとりをもって早めに出たのだったが。

予定の時刻を少しオーバーしたところで整備の進んだ広々とした絶好の観察場所?に到着。トイレも清潔。一息入れて、漁船がいないことに不自然な感じはしたが、出漁中に違いない。それでも、正確な場所を確認しようとナビを見た。”完了”のメッセージ。確信はますます強まった。

本降りの中のドライブ

集合時間まで40分もある。ちょうど雨も強まってきたので、標識に従って屋鈍を目指した。いばらく行くと部連ブレンのバス停。ヤドンは聞いたことがあるがはじめて目にする集落名だ。15分ほどで引き返しが、結局、それらしい人が現れることはなかった。「天気が悪いので中止になったのかも。」

オーマイガーツ!

近くの観光案内所の売店に立ち寄った。宇検カレーのレトルトを購入した。「実は、カクカクシカジカ。」気の良さそうな二人のおばさんたちが気の毒そうな顔で「ここは湯湾です。」「えーっ!」思わず絶句。なんということか。こんな時に言うんだろうあ「オーマイガーツ!」

名音の港と立神

名音の港と立神

名音ナオン周りで帰る旨告げると、「それなら是非行かれてください。今もやっているかもしれませんよ。」そんな激励を受けて外に出た。遠くでサシバの鳴く声が聞こえた。

それでも悔いはなし

すでに12時を回っているので観察の時間はとっくに過ぎている。宇検漁港に下るのをあきらめ、”大和村”とある右手の坂を上がった。それにしても、開けた湯湾にくらべていかにもひなびた感じの宇検集落。そんなことを思いながら走る県道もこれまた林道?

今の季節サキシマフヨウが満開

今の季節サキシマフヨウが満開

そんなブルーな気分を一新してくれたのは一山越して大和村に入ったその時だった。突然目の前で飛び立つ鳥に思わず声を上げた。広げた翼は赤茶色で美しかった。サシバに違いない!

ついにあえた!

さっきよりもしっかりした鳴き声も聞こえる。悔しい思いが募った。しかし、森を抜け視界が開けたその時、目の前の電柱のてっぺんでじっとして動かないのは紛れもなくサシバ。慌てて車を止めカメラを手にした。ワクワクドキドキしながら何枚も何枚も撮った。

鋭い目つきであたりを睥睨する様はやはり奄美の森に君臨する王の風格そのもの。

大満足のうちに1時半帰着。それでも、故郷への無知に対する悔悟というか、幾分のほろ苦さは残った。「宇検村、大和村を知り尽くすぞ!」なんだか力が入った。

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